京丹後産クラフトビールで持続可能な地域をつくる

京丹後産クラフトビールで持続可能な地域をつくる

2023.04.18

この記事はお二人に協力いただきました。
ライター:上田志保さん / カメラマン:染谷ノエルさん

生まれ育った京都府与謝野町にUターンして起業し、ビール作りとまちおこしに励む若き挑戦者、濱田さん。「地域にコミットし、旗振り役になる」と語る背景にどんな想いがあるのかを伺いました。

与謝野町の資源と課題から
生まれる「ASOBI」

ビール&まちづくりに力を注ぐ若者がいると聞き、京都府・京丹後エリアにある与謝野町へと向かいました。

缶ビールを手にあらわれた濱田 祐太(はまだ ゆうた)さん。大学在学中の2019年に起業した株式会社ローカルフラッグの代表として、クラフトビール[ASOBI:アソビ]を広めるべく奔走しています。

濱田さん:
ASOBIの特徴は2つ。
みずみずしい柑橘のような香りと、スッキリと飲み疲れしない味。
そして、飲めば飲むほど地域が潤い、課題解決につながることなんです。

美味しいビールを飲むほど地域のためになるなんて、そんな良いことがあるの?と、まずは2020年3月にスタートしたASOBIの生い立ちを聞くことに。
その原点には、濱田さんが高校時代から抱いてきた「地元・与謝野町に貢献したい」という思いがありました。

京都府与謝野町は、日本三景・天橋立のすぐそばの町。海や緑に囲まれる風景は目にやさしく、農水産物にも恵まれています。

ところが、天橋立の内海・阿蘇海では「牡蠣」が異常繁殖していて、景観悪化や悪臭、漁への影響などに悩まされているのだとか。

濱田さん:
地元の海の牡蠣被害を、何かおもしろい方法で課題解決したかったんです。そこで、牡蠣殻の成分を、ビールの水の水質調整に使えないかと。

また、地方創生に注力する与謝野町では、2015年からビールの原料となるホップを町の特産品にすべく栽培をはじめていました。

濱田さん:
ホップの生産量は増えていましたが、まだ6次産業化されていませんでした。
だったら、地域資源のホップと地域課題の牡蠣を結びつけて、「飲めば飲むほど地域のためになるビール」を目指すことにしたのです。

ASOBIという名の由来のひとつには、かつて「あそびの海」とも呼ばれた阿蘇海の原風景を守りたいという思いが込められています。そして、ラベルのパターン柄は天橋立や阿蘇海などをモチーフにしていて、地域への愛着が描かれています。

「地域のため」というストーリー性はさることながら、支持されるには「美味しさ」も重要です。
例えば、目を閉じて飲んでもASOBIと分かるほどのみずみずしい香りは、与謝野ホップを生のままたっぷり使っているからだとか。

濱田さん:
ホップはひとつひとつ農家さんの手で摘み、生のまま真空冷凍しています。一般的な製法より手間がかかりますが、与謝野ホップの美味しさを活かしたくて、工場の方にお願いしました。

さらに、熱意は商売の仕組みにも向けられます。
瓶が主流のクラフトビールには珍しく、ASOBIは流通しやすい缶ビール。「地域の外でしっかり稼いで、地域に還元する事業でありたい」と濱田さんは語ります。

濱田さん:
缶は製造の関係で瓶ビールの約10倍もの在庫を抱えなければなりません。でも、多くの人に届けるには缶ビールがベスト。なんとしても売ると決めたし、自信もありました。
缶だと常温で輸送や保存ができるから、輸出の可能性も広がりますしね。

濱田さんの事業構想は国内にとどまらず、海外にも向いているようです。

地域を思う「気概」で、アイデアをカタチにする

「地元のホップと牡蠣殻でビールを作る」というアイデアはあっても、ビジネスが回りはじめるまで大変な苦労があったでしょう。ところが、濱田さんからはネガティブな言葉が出てきません。

濱田さん:
「ビール」としてカタチにするために、とにかく色んな人に、プレゼンや相談をしました。そこで得た多くのアドバイスの中から、ビールの作り方や牡蠣殻の使い方などを探っていきました。
そして、出資してくださる人や「商品ができたら売るよ、買うよ」という頼もしいみなさんともつながることもできたのです。

開発時に募ったクラウドファンディングでは、なんと3時間で目標金額を達成。与謝野町に現れた若き挑戦者に期待する多くの人々の声援が聞こえるようなエピソードです。

取材の合間にも、各所への連絡や納品に忙しい濱田さん。常に人とつながって、アイデアをカタチにしていく様子が伺えます。

ちなみにASOBIは丹後の美味しいものとも好相性。
おみやげ処の方は、「観光に来た若い人だけでなく、環境にいいビールだと知った地元の年配の方も買いに来てくれるようになった」と購買層の広がりを感じるお話も聞かせてくれました。

濱田さんのアクティブなコミュニケーションは、共に働く仲間も引き寄せています。

ビール事業の中核を担う社員の野村さん(写真左)は、ローカルフラッグのビジネスモデルに共感し、東京の大企業を辞めて与謝野町にUターンしました。

野村さん:
濱田とは大学時代から「いつか地元で何かしたい」と話していました。卒業後、東京で働きながらもリモートでASOBIの開発に携わったのですが、彼の「10年、20年先の地域を何とかしよう」という気概に刺激され、入社を決意したんです。

僕たちは新たな事業を展開していく見込みです。彼が代表として会社を牽引するなら、僕はビール事業の顔として業界に挑む覚悟でやっています。

直近の動きとしては、自社ビール工場に着工。この町でしか飲めない銘柄の開発や、ビールを通じて町に人を呼ぶ空間づくりも構想するなど、彼らの勢いは止まりません。

一人でも多く前向きな人を
地域に呼び込みたい

「ビールを売るだけがゴールではない」と、人を中心とした「まちづくり事業」についても語ってくれました。

1本めの柱は、地域の未来を支える人財育成です。多くの地方同様に与謝野町も人口減少や働き手不足が課題。せっかく若者が町で就職しても社内に「同期」がほとんどいないのが現状だそうです。

濱田さん:
組織の枠を超えて「同期会」を発足し、プレゼン大会や共同研修などを行っています。みなさん同世代なので、相談しあって切磋琢磨できているみたいですね。
若い世代が安心して働くことのできる環境をつくり、地域全体で未来の人財を大切にしていかなければと考えています。

また、近隣地域とともに起業家を発掘・育成する「ローカルベンチャースクール」や、全国の地域起業家と我が町の価値向上を学ぶ「地方企業の面白塾」など、地方創生のキーマンを巻き込むプロジェクトにも励んでいます。

濱田さん:
スタートアップや、地元企業の後継者とも一緒になって、ローカルビジネスを盛り上げていきたい。外の地域で活躍する起業家さんたちとも仲間になって、前向きな人を地域に呼び込みたいと思っているんです。

まちづくり事業のもう一つの柱として、行政からの委託で移住相談窓口などを担っています。
近年、コロナ禍を契機に人々の暮らしに変化が起きたことから、地方移住が多くのメディアでも取り上げられるようになりました。与謝野町はどうなのでしょうか。

濱田さん:
人気の移住先は広く話題になっている町。つまりもうすでに活躍している人材がいて、コミュニティが出来上がっているということ。

一方で、与謝野町は若いプレイヤーは希少です。「だから住みにくい」のではなく「挑戦するチャンスがある地域」なんですよ。
窓口業務をはじめてから相談数は増えていて、実際に「地域で働いてみたい」という若者の声も届いています。

現在、ローカルフラッグはU・Iターンの社員で構成されています。地域の内と外の暮らしを知るメンバーだからこそ、地方での新たな暮らしに希望を持つ人の良きサポーターになれるのだろうなと感じました。

実は、ASOBIの美味しさに感激し「ここなら何かできそう!」と与謝野町に移住して、ローカルフラッグに入社した社員がいるのだそう。

濱田さん:
ASOBIをきっかけに僕らの町に興味を持ってもらったり、まちづくりで人が集まる時にASOBIのビールでもてなしたり。2つの事業には相乗効果があるんですよ。
事業を通じて直接人と語り合い、多様な活動に触れることは、かけがえのない学びです。両方やっていて良かったなと思っています。

地域性を生かしたビールづくりで利益を獲得し、人との関係を紡いで地域に力をもたらす。彼らの動きによって、ゆるやかに流れる与謝野町の空気がじわじわと活気を帯びていくように感じました。

「誇れる町」を目指して、
旗を振り地域と共に歩む

大学在学中に起業を果たすまで、濱田さんは大企業やベンチャー企業のインターン、NPOの課外活動、地域振興の視察、政治家の鞄持ちなど、あらゆる現場に飛び込んでみたそうです。

それは、「いかに地域に貢献できる存在になれるか」を探るため。
中でも、与謝野町よりも小さな町で課題意識を持って事業を起こした人々に感銘を受け、自らも起業を決断しました。

濱田さん:
どうせやるなら難しい道にチャレンジする方が、地域や自分の未来にとってワクワクするんじゃないかと思って起業しました。
地方創生には行政のサポートがつきものですが、それだけが手段ではありません。
これからは、地域の一企業として結果を出していくことが、町のためになると考えたんです。
濱田さん:
仲間とは「誇れる町にしよう」と話しています。与謝野町に生まれて、住んで、起業してよかったと思える人が増えるように。大好きな町を、次の世代に渡していきたいですね。
僕らは、考え尽くして名付けた「ローカルフラッグ」の言葉どおりりに、地域にコミットし「旗振り役」として自走可能なまちづくりを実現していきます。

同じような思いを持った仲間が全国各地にいると、いい町だらけの日本になるんじゃないかな。

濱田さんたちのように「地域」という足元から起こす新風は、きっと未来を良い方へ変える力になるのでしょう。

濱田さん:
小さくていいから、まず動く。そこから見えてくる未来があると思っています。どんなことも、やってみないとわかりませんから。

最後にあらためて与謝野町の魅力を聞くと「食がとにかく素晴らしくて、めっちゃ幸福度が高い町なんです!」と笑顔で答えてくれました。濱田さん推しのおつまみとASOBIを手に、帰路に着いたのは言うまでもありません。

さて、与謝野町はこれからどんな町になっていくのでしょうか。ASOBIを飲み干しながら「また行こう」と誓うのでした。

関連リンク

Twitter

Facebook

ローカルフラッグHP

こちらの記事は、
この方々と一緒につくりました!

「コピー・デザイン・イラストで想いに触れる」淡路島在住
上田志保さん(ライター)

<コメント>
ASOBI×京丹後おつまみ、オススメです!
濱田さんたちが起こす新風で、与謝野町にさらなる魅力が生まれてくることを楽しみにしています。

インスタグラム
ウェブサイト

染谷 ノエルさん(ライター)

Twitter
Instagram

この国をもっと満喫したい

au 5Gのある風景
日本には美しい風景がたくさんあるので、
全国各地を巡ってみました。

与謝野町の資源と課題から
生まれる「ASOBI」

ビール&まちづくりに力を注ぐ若者がいると聞き、京都府・京丹後エリアにある与謝野町へと向かいました。

缶ビールを手にあらわれた濱田 祐太(はまだ ゆうた)さん。大学在学中の2019年に起業した株式会社ローカルフラッグの代表として、クラフトビール[ASOBI:アソビ]を広めるべく奔走しています。

濱田さん:
ASOBIの特徴は2つ。
みずみずしい柑橘のような香りと、スッキリと飲み疲れしない味。
そして、飲めば飲むほど地域が潤い、課題解決につながることなんです。

美味しいビールを飲むほど地域のためになるなんて、そんな良いことがあるの?と、まずは2020年3月にスタートしたASOBIの生い立ちを聞くことに。
その原点には、濱田さんが高校時代から抱いてきた「地元・与謝野町に貢献したい」という思いがありました。

京都府与謝野町は、日本三景・天橋立のすぐそばの町。海や緑に囲まれる風景は目にやさしく、農水産物にも恵まれています。

ところが、天橋立の内海・阿蘇海では「牡蠣」が異常繁殖していて、景観悪化や悪臭、漁への影響などに悩まされているのだとか。

濱田さん:
地元の海の牡蠣被害を、何かおもしろい方法で課題解決したかったんです。そこで、牡蠣殻の成分を、ビールの水の水質調整に使えないかと。

また、地方創生に注力する与謝野町では、2015年からビールの原料となるホップを町の特産品にすべく栽培をはじめていました。

濱田さん:
ホップの生産量は増えていましたが、まだ6次産業化されていませんでした。
だったら、地域資源のホップと地域課題の牡蠣を結びつけて、「飲めば飲むほど地域のためになるビール」を目指すことにしたのです。

ASOBIという名の由来のひとつには、かつて「あそびの海」とも呼ばれた阿蘇海の原風景を守りたいという思いが込められています。そして、ラベルのパターン柄は天橋立や阿蘇海などをモチーフにしていて、地域への愛着が描かれています。

「地域のため」というストーリー性はさることながら、支持されるには「美味しさ」も重要です。
例えば、目を閉じて飲んでもASOBIと分かるほどのみずみずしい香りは、与謝野ホップを生のままたっぷり使っているからだとか。

濱田さん:
ホップはひとつひとつ農家さんの手で摘み、生のまま真空冷凍しています。一般的な製法より手間がかかりますが、与謝野ホップの美味しさを活かしたくて、工場の方にお願いしました。

さらに、熱意は商売の仕組みにも向けられます。
瓶が主流のクラフトビールには珍しく、ASOBIは流通しやすい缶ビール。「地域の外でしっかり稼いで、地域に還元する事業でありたい」と濱田さんは語ります。

濱田さん:
缶は製造の関係で瓶ビールの約10倍もの在庫を抱えなければなりません。でも、多くの人に届けるには缶ビールがベスト。なんとしても売ると決めたし、自信もありました。
缶だと常温で輸送や保存ができるから、輸出の可能性も広がりますしね。

濱田さんの事業構想は国内にとどまらず、海外にも向いているようです。

地域を思う「気概」で、アイデアをカタチにする

「地元のホップと牡蠣殻でビールを作る」というアイデアはあっても、ビジネスが回りはじめるまで大変な苦労があったでしょう。ところが、濱田さんからはネガティブな言葉が出てきません。

濱田さん:
「ビール」としてカタチにするために、とにかく色んな人に、プレゼンや相談をしました。そこで得た多くのアドバイスの中から、ビールの作り方や牡蠣殻の使い方などを探っていきました。
そして、出資してくださる人や「商品ができたら売るよ、買うよ」という頼もしいみなさんともつながることもできたのです。

開発時に募ったクラウドファンディングでは、なんと3時間で目標金額を達成。与謝野町に現れた若き挑戦者に期待する多くの人々の声援が聞こえるようなエピソードです。

取材の合間にも、各所への連絡や納品に忙しい濱田さん。常に人とつながって、アイデアをカタチにしていく様子が伺えます。

ちなみにASOBIは丹後の美味しいものとも好相性。
おみやげ処の方は、「観光に来た若い人だけでなく、環境にいいビールだと知った地元の年配の方も買いに来てくれるようになった」と購買層の広がりを感じるお話も聞かせてくれました。

濱田さんのアクティブなコミュニケーションは、共に働く仲間も引き寄せています。

ビール事業の中核を担う社員の野村さん(写真左)は、ローカルフラッグのビジネスモデルに共感し、東京の大企業を辞めて与謝野町にUターンしました。

野村さん:
濱田とは大学時代から「いつか地元で何かしたい」と話していました。卒業後、東京で働きながらもリモートでASOBIの開発に携わったのですが、彼の「10年、20年先の地域を何とかしよう」という気概に刺激され、入社を決意したんです。

僕たちは新たな事業を展開していく見込みです。彼が代表として会社を牽引するなら、僕はビール事業の顔として業界に挑む覚悟でやっています。

直近の動きとしては、自社ビール工場に着工。この町でしか飲めない銘柄の開発や、ビールを通じて町に人を呼ぶ空間づくりも構想するなど、彼らの勢いは止まりません。

一人でも多く前向きな人を
地域に呼び込みたい

「ビールを売るだけがゴールではない」と、人を中心とした「まちづくり事業」についても語ってくれました。

1本めの柱は、地域の未来を支える人財育成です。多くの地方同様に与謝野町も人口減少や働き手不足が課題。せっかく若者が町で就職しても社内に「同期」がほとんどいないのが現状だそうです。

濱田さん:
組織の枠を超えて「同期会」を発足し、プレゼン大会や共同研修などを行っています。みなさん同世代なので、相談しあって切磋琢磨できているみたいですね。
若い世代が安心して働くことのできる環境をつくり、地域全体で未来の人財を大切にしていかなければと考えています。

また、近隣地域とともに起業家を発掘・育成する「ローカルベンチャースクール」や、全国の地域起業家と我が町の価値向上を学ぶ「地方企業の面白塾」など、地方創生のキーマンを巻き込むプロジェクトにも励んでいます。

濱田さん:
スタートアップや、地元企業の後継者とも一緒になって、ローカルビジネスを盛り上げていきたい。外の地域で活躍する起業家さんたちとも仲間になって、前向きな人を地域に呼び込みたいと思っているんです。

まちづくり事業のもう一つの柱として、行政からの委託で移住相談窓口などを担っています。
近年、コロナ禍を契機に人々の暮らしに変化が起きたことから、地方移住が多くのメディアでも取り上げられるようになりました。与謝野町はどうなのでしょうか。

濱田さん:
人気の移住先は広く話題になっている町。つまりもうすでに活躍している人材がいて、コミュニティが出来上がっているということ。

一方で、与謝野町は若いプレイヤーは希少です。「だから住みにくい」のではなく「挑戦するチャンスがある地域」なんですよ。
窓口業務をはじめてから相談数は増えていて、実際に「地域で働いてみたい」という若者の声も届いています。

現在、ローカルフラッグはU・Iターンの社員で構成されています。地域の内と外の暮らしを知るメンバーだからこそ、地方での新たな暮らしに希望を持つ人の良きサポーターになれるのだろうなと感じました。

実は、ASOBIの美味しさに感激し「ここなら何かできそう!」と与謝野町に移住して、ローカルフラッグに入社した社員がいるのだそう。

濱田さん:
ASOBIをきっかけに僕らの町に興味を持ってもらったり、まちづくりで人が集まる時にASOBIのビールでもてなしたり。2つの事業には相乗効果があるんですよ。
事業を通じて直接人と語り合い、多様な活動に触れることは、かけがえのない学びです。両方やっていて良かったなと思っています。

地域性を生かしたビールづくりで利益を獲得し、人との関係を紡いで地域に力をもたらす。彼らの動きによって、ゆるやかに流れる与謝野町の空気がじわじわと活気を帯びていくように感じました。

「誇れる町」を目指して、
旗を振り地域と共に歩む

大学在学中に起業を果たすまで、濱田さんは大企業やベンチャー企業のインターン、NPOの課外活動、地域振興の視察、政治家の鞄持ちなど、あらゆる現場に飛び込んでみたそうです。

それは、「いかに地域に貢献できる存在になれるか」を探るため。
中でも、与謝野町よりも小さな町で課題意識を持って事業を起こした人々に感銘を受け、自らも起業を決断しました。

濱田さん:
どうせやるなら難しい道にチャレンジする方が、地域や自分の未来にとってワクワクするんじゃないかと思って起業しました。
地方創生には行政のサポートがつきものですが、それだけが手段ではありません。
これからは、地域の一企業として結果を出していくことが、町のためになると考えたんです。
濱田さん:
仲間とは「誇れる町にしよう」と話しています。与謝野町に生まれて、住んで、起業してよかったと思える人が増えるように。大好きな町を、次の世代に渡していきたいですね。
僕らは、考え尽くして名付けた「ローカルフラッグ」の言葉どおりりに、地域にコミットし「旗振り役」として自走可能なまちづくりを実現していきます。

同じような思いを持った仲間が全国各地にいると、いい町だらけの日本になるんじゃないかな。

濱田さんたちのように「地域」という足元から起こす新風は、きっと未来を良い方へ変える力になるのでしょう。

濱田さん:
小さくていいから、まず動く。そこから見えてくる未来があると思っています。どんなことも、やってみないとわかりませんから。

最後にあらためて与謝野町の魅力を聞くと「食がとにかく素晴らしくて、めっちゃ幸福度が高い町なんです!」と笑顔で答えてくれました。濱田さん推しのおつまみとASOBIを手に、帰路に着いたのは言うまでもありません。

さて、与謝野町はこれからどんな町になっていくのでしょうか。ASOBIを飲み干しながら「また行こう」と誓うのでした。